題名は「希望の同盟へ」

約47分間の演説中、満席の議場からスタンディングオベーションを送られる場面が10回以上あった。

日米同盟の発展が世界の平和と安定に貢献するという「未来志向」の考えを前面に打ち出した。
韓国が戦後70年の安倍談話に求める「侵略」「植民地支配」「お詫(わ)び」の文言は使用しなかった。11072184_627462527353510_2429290382651581857_n
 



安倍総理大臣は日本時間の30日未明、アメリカ議会上下両院の合同会議で、日本の総理大臣として初めて演説し、「日本は世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく決意だ」と述べ、集団的自衛権の行使を含む安全保障法制の関連法案を、ことし夏までに成立させる考えを明言しました。
また、安倍総理大臣は「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ」と述べ、歴代の総理大臣の歴史認識を引き継ぎ、今後も平和国家として、世界の平和と安定に貢献していく考えを強調しました。

日本の総理大臣として9年ぶりにアメリカを公式訪問している安倍総理大臣は、日本時間の30日午前零時すぎから、アメリカ議会で英語で演説を行いました。演説の冒頭、安倍総理大臣は、1957年にみずからの祖父、岸信介総理大臣がアメリカ議会で演説したことを紹介し、日本の総理大臣として初めて上下両院の合同会議で演説する機会を得たことに感謝の意を示しました。
そして安倍総理大臣は、演説に先立ってワシントンにある第2次世界大戦に従軍したアメリカの将兵をたたえる記念碑を視察したことに触れ、真珠湾やバターンなど、先の大戦での戦場の名前を挙げ、「歴史とは実に取り返しのつかない苛烈なものだ。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立ち、黙とうをささげた」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「しれつに戦い合った敵は、心の紐帯を結ぶ友になった。戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ。みずからの行いがアジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けてはならない。これらの点についての思いは歴代総理と全く変わるものではない」と述べました。
そして、安倍総理大臣は「アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と繁栄のため、力を惜しんではならない。戦後日本はみずからに言い聞かせ歩んできた。この歩みを私は誇りに思う」と述べ、歴代の総理大臣の歴史認識を引き継ぎ、今後も平和国家として、世界の平和と安定に貢献していく考えを強調しました。
さらに、安倍総理大臣は「戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくしてありえなかった。私たちはアジア太平洋地域の平和と安全のため、アメリカの『リバランス』を徹頭徹尾支持する。太平洋からインド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければならない。そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはならない。私たちには、その責任がある」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「日本は今、安保法制の充実に取り組んでいる。日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応がはるかによくできるようになる。この法整備で、自衛隊とアメリカ軍の協力関係は強化され、日米同盟はより一層強固になる。地域の平和のため、確かな抑止力をもたらす。戦後初めての大改革だ。この夏までに成就させる。日本は世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていくと決意している。そのために必要な法案の成立を、この夏までに必ず実現する」と述べ、集団的自衛権の行使を含む安全保障法制の関連法案を、ことし夏までに成立させる考えを明言しました。
また、安倍総理大臣は「国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならない。紛争下、常に傷ついたのは女性だった。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはならない」と述べました。一方、安倍総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について「日本とアメリカがリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的(しいてき)な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場を作り上げなくてはならない。日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えている。アメリカと日本のリーダーシップで、一緒に成し遂げよう」と述べ、早期の交渉妥結に向けて協力を呼びかけました。
そして、安倍総理大臣は「国際協調主義に基づく積極的平和主義こそは、日本の将来を導く旗印となる。日米同盟は、テロリズム、感染症、自然災害、気候変動といった新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えた。アメリカが世界に与える最良の資産は、昔も今も将来も希望だ。私たちの同盟を『希望の同盟』と呼ぼう。アメリカと日本が力を合わせ、世界をもっとはるかによい場所にしていこう。一緒なら、きっとできる」と呼びかけ、演説を締めくくりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150430/k10010065211000.html